グラスウールによくある4つの誤解
身体に悪そう?発泡プラスチック系より断熱性能が劣る?内部結露が起きやすい?などグラスウール断熱材によくある4つの誤解を解決します。
1. グラスウール断熱材は発泡プラスチック系より断熱性能が劣る?
断熱材の性能を表す「熱伝導率(λ)」は、数値が小さいほど断熱性能が高いことを表しますが、熱伝導率の数値のみ比較し「発泡プラスチック系のほうがグラスウール断熱材より優れている」と判断するのは大きな誤解です。
断熱材製品には異なる素材・厚みのものがあり、断熱材の性能は使用する断熱材の「厚さ」と「熱伝導率」によって決まります。熱伝導率に断熱材の厚みを考慮した数値が「熱抵抗値(R)」であり、数値が大きいほど断熱性能が高いことを表します。
各断熱材の熱抵抗値を比較すると、厚みを考慮する実際の施工においてはグラスウール断熱材の方が熱抵抗値が大きく、断熱性能が優れていることがわかります。
2. グラスウール断熱材は内部結露が起きやすい?
> 素材自体に吸湿性はない
繊維と繊維の間に空気を含んだグラスウールは、周囲の湿度に同調して断熱材内に湿気が出たり入ったりすることがありますが、ガラス繊維自体は吸湿性を持たない無機質材料のため、素材自体が湿気を吸うことはありません。
よって「グラスウールは湿気に弱いため、内部結露の原因になる」というのは誤解です。
> 内部結露は過去の知識不足と不適切な施工が原因
断熱材を施工しても隙間があったり防湿が不十分だったりすると、湿気が壁などの内部に侵入し、内部結露が発生しかねません。かつてはグラスウール断熱施工の知識不足や、不適切な施工によりこうしたトラブルが発生していました。
断熱材の種類に関わらず、不完全な断熱施工では内部結露のリスクはあります。
正しい施工こそが結露を防ぐ唯一の方法といえます。
> 通気層工法で湿気を排出
グラスウールで断熱施工をする場合、内壁側に水蒸気の侵入を防ぐ防湿フィルムを設置し、外壁との間に通気層を設置します。防湿層の継ぎ目などから湿気が壁体内に入ってしまっても、通気層が抜け道となって湿気を逃します。
3. グラスウール断熱材は施工ミスが多い?
グラスウールの施工知識が不足していたひと昔前には、内部結露が原因でグラスウール断熱材にカビが発生する事例がありました。
しかし、住宅の断熱化が一般的となり、断熱材の施工技術が向上した現在は、防湿シートの施工や湿気を排出する通気層工法等が確立・普及しており、正しく施工されたグラスウールに、カビが発生することはありません。
下:築17年の住宅のグラスウール断熱材の状態
(出典:硝子繊維協会)
充填断熱工法において、筋交い壁やコンセントボックスなど断熱材にとっての障害物周りで、まれに施工の精度にバラツキが出ることがあります。これは施工者により充填断熱に関する認識の違いがあることによりますが、施工方法と充填断熱の仕組みを理解すれば難しい作業ではありません。
現在では、業界全体での啓蒙活動などもあり、ひと昔前に比べて大きな施工ミスは希なケースになりました。
マグ・イゾベールでは施工業者の方々に、より正しい知識と正確な施工技術を身に付けていただくためのセミナーや勉強会を開催し、グラスウールによる充填断熱施工方法を徹底的に指導しています。
4. グラスウール断熱材は身体に悪そう?
> アスベストとは全く別物
同じ繊維形状のため発がん性のある天然鉱物繊維のアスベストとしばしば混同されることがありますが、グラスウールはガラスが主原料の人工繊維であり、アスベストとは全く別物です。
また、これまでグラスウール断熱材にアスベストが含まれたことは一度もありません。
> 吸い込んでも大丈夫
グラスウール断熱材は躯体に充填されることが一般的なので、室内外の空気を汚すことはありません。仮にわずかに飛散している繊維を吸い込んだとしても、グラスウール の繊維は直径4~9ミクロンと太いため、鼻や気管支でほとんど除去されます。
万一肺に入っても、体液に溶けやすく短期間で体外に排出されます。
> コーヒーよりも発がん性なし
「IARC」(国際がん研究機関)による物質の発がん性評価において、グラスウールは「グループ3」”ヒトに対して発がん性が分類されない”に該当するものと認定されています。これは「グループ2B」のコーヒーよりも危険のないレベルに位置づけられます。
また、グラスウールはこれまで世界中で50年以上にわたり安全に使用されており、製造・施工現場の実態調査でも問題ないことが確認されています。
> ホルムアルデヒドの心配なし
シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドですが、合板や塗料、接着剤に比べるとグラスウール断熱材から発生するホルムアルデヒド量は極めて少量です。ホルムアルデヒドの発散速度に応じた区分「ホルムアルデヒド等級※」でも最高ランクの「F☆☆☆☆」に該当し、建築基準法における使用制限を一切受けることなく使用できます。
※ホルムアルデヒドの発散量に応じてF☆☆~F☆☆☆☆までの等級に分けられ、その等級によって内装材として使用できる面積に制限がかけられている。☆の数が多いほど安全性が高いことを示す。