断熱・保温・保冷材として使用
設備配管の保温・保冷

オフィスビルや病院などの建築では、ボイラーなどの空調設備が用いられます。
それらの配管およびダクト内を移動する空気や冷却水のエネルギーロスを抑え、効率的なシステムを維持するには、正しい断熱材の選定と、気密性を保つ施工を行うことが重要です。
このような設備配管の保温・保冷に主にロール形状・パイプ形状のグラスウールが用いられており、数多くのビル建築のエネルギー消費削減に貢献しています。
空調用ダクトの保温・保冷
新鮮な空気を建物内部に循環させる場合、空調用ダクトが用いられることが一般的であり、主に2タイプの空調ダクトに分類されます。
- 鉄板にて形成されたダクトの場合:
ダクト壁面から熱が侵入もしくは放出されるのを防ぐために鉄板ダクトの外側に断熱材を施工します。 また同時にダクト内部を伝わる音の伝播も防ぎます。ボード・ロール・保温帯形状等のグラスウールが用いられています。 - 空調ダクトそのものをグラスウールで形成するグラスウールダクトの場合:
軽量なグラスウールによって出来ているため、施工が早くでき、地震での落下リスクを低減することができます。 また吸音性能も高く、多くの建築物で使用されています。
吸音材として使用
天井材で吸音

体育館やホール、オフィスや商業施設など、多くの建築物では内部で発生する騒音対策として、吸音することが重要になります。
断熱性と吸音性を兼ね備えたグラスウールは、オフィスや会議室などの天井板としても優れた効果を発揮します。
また軽量で柔軟性もあるため、万が一の天井落下時でも被害を最小限に抑えます。
壁材・天井材で吸音

中規模以上の建物においては、たいていボイラー設備等の機械室が整備されています。
そのような機械設備から発生する不快な騒音を、吸音性に優れたグラスウールボードが吸音するため、点検・メンテナンス時での作業環境を改善しています。
また映画館やホールといった音響性能を追求する施設においても、壁材としてグラスウールボードが採用されており、室内音環境の改善に貢献しています。
間仕切壁内で吸音
アパートやオフィス等の間仕切り壁の中では、石膏ボード間に充填されたグラスウールが吸音性能を発揮しています。
石膏ボード間に充填されたグラスウールは、内部での反響を抑えるため、透過損失を向上させます。
鉄筋コンクリートの壁よりも軽いため、高層マンションの上部で用いられるケースもあります。
建築物以外にも使用されているグラスウール
船舶の断熱材として使用

鉄やアルミなどの熱を通しやすい素材により作られた船舶では、「断熱」が非常に重要になります。
燃費を向上させるために「軽量性」も同時に求められているため、グラスウールは多くの船舶で用いられています。
防音壁として使用
高速道路に設けられた壁や高架道路の床面では、車が発生させる騒音を吸音するために吸音材が設けられています。
撥水処理等を施したグラスウールが壁や床面で高い吸音性能を発揮することにより、近隣住民の方々の音環境の快適性を実現しています。
空調設備機器に使用
高い吸音性を持つグラスウールは、空調設備の一部である「サイレンサー」と呼ばれる箱の内部に施されており、空気と共に運んでしまう騒音を吸音しています。
サイレンサーは空調ダクトを有している設備にはおおむね用いられているため、使用用途は非常に広く、ビルやオフィス建築をはじめ鉄道車両などでも用いられています。