Case Study

マルチ・コンフォート・ハウス 軽井沢

パッシブハウスの性能と自然エネルギーのベストミックス。

最低気温がマイナス15℃にもなる冬の軽井沢。そんな厳寒な環境でも、パッシブハウスの5つの原則にもとづいて躯体性能を高めれば、快適性と省エネ性が確保できることを証明。

しかも、太陽光、薪ストーブの自然エネルギーを最小限活用するだけで、消費量よりも多くのエネルギーを作り出すプラスエナジー・ハウスを実現。生活の質へのこだわりと、環境・エネルギー問題への意識の高さがもたらした究極の持続可能な住まい。

 

仕様構成図・各仕様データ

 

建物データ

所在地 長野県北佐久郡軽井沢町(断熱地域区分:2地域)
構造仕様 木造在来軸組構法
建築面積 99.47m2
敷地面積 378.80m2
延床面積 168.14m2
1階:86.04m2
2階:82.10m2
竣工 2012年8月
工事期間 2012年1月~2012年8月
設計 キーアーキテクツ(株)
建築物理監修 キーアーキテクツ(株)
断熱監修 マグ・イゾベール
ドイツパッシブハウス研究所認定証
ドイツ・パッシブハウス研究所(PHI)認定物件【Project ID:2788】

 

性能データ

1次エネルギー消費量(年間) 76kWh/m2
※暖冷房、除湿、給湯、換気、照明および家電を含む
暖房負荷(年間) 14kWh/m2
(最低室温20℃)
冷房負荷(年間) 8kWh/m2
(最高室温25℃)
熱損失係数(Q値) 0.67W/m2・K(<1.9[省エネ対策等級4])
外皮平均熱貫流率(UA値) 0.20W/m2・K
相当隙間面積(C値) 0.30cm2/m2

 

断熱仕様

 屋根

高性能グラスウール360mm(40K/m2相当x120mmx3層)
内付加グラスウール250mm(32kg/m2x100mmx2層+50mm)  =計610mm
(マグラムダ34)

熱抵抗値(R値):17.2m2・K/W(>4.6[省エネ対策等級4])
熱貫流率(U値):0.073W/m2・K

 壁

充填断熱:高性能グラスウール180mm(16kg/m2x90mmx2層)
外付加断熱:グラスウール100mm(32kg/m2
(マグスーパーイエロー)
(マグボード)

熱抵抗値(R値):7.5m2・K/W(>2.2[省エネ対策等級4])
熱貫流率(U値):0.14W/m2・K

 気密部材

可変透湿気密シート (ザバーンBF)

防湿気密テープ (バリオ マルチテープSL/バリオKB1)

 開口部

木枠・トリプル・アルゴンガス入り+トップライト窓

熱貫流率(U値):0.88W/m2・K(全ての窓・サッシの平均)

 基礎

土間:XPS3種150mm・XPS3種50mm(防蟻タイプ)

 熱交換換気システム

熱交換率90%

 

設計・施工者より

キーアーキテクツ代表取締役 森みわ氏

キーアーキテクツ 株式会社 代表取締役 森みわ氏
(パッシブハウス・ジャパン代表理事)
 

どのような家づくりにも予算の制約があり、最終的には"エコ-ecology"(環境や次世代への配慮)と"エゴ-egoism"( (自分と家族への配慮)のせめぎあいになります。

しかし、"パッシブハウス"をエコの手段として選ばれることは、快適性や健康メリットといったエゴとの共存が可能となり、安心して無駄なものをそぎ落とせるというのがお施主様にとっての大きなメリットとなります。

ご夫婦は、家づくりの最初の段階でこの事を理解されており、予算が厳しい中、優先順位が大変明確であり、設計プロセスは大変スムーズでした。

 

キーアーキテクツ株式会社ロゴマーク

 一級建築士事務所
キーアーキテクツ株式会社
〒248-0007 神奈川県鎌倉市大町2-2-2
Tel:0467-39-5730

https://www.key-architects.com

 

お施主様の声


実際の住み心地や感じたことなど、お施主様の声をご紹介します。

 

高断熱・高気密な住まいを追求してパッシブハウスを選択


東京から軽井沢に移り住んだのは2012年の秋。東京では目にすることがない自然の豊かさに惹かれて新居を建てることにしました。冬の寒さが厳しい軽井沢だからこそ、「しっかりとした高断熱・高気密な住まいにしよう」と考え、専門誌やWebサイトで情報を収集しました。

いろいろ調べた結果、パッシブハウスが最もベストな選択だと思いました。体の構造や断熱構造、窓などの開口部、そして熱交換型換気システムなどディテールのあらゆる部分まで徹底的にこだわりました。

せっかく建てるなら、いつも快適で、ずっと長く住める家にしたかったからです。

 

マルチ・コンフォート・ハウス軽井沢 施主様

 

冬も室内は断熱で暖かく床暖房は不必要


最初に迎えた冬のことです。
年末年始にかけて帰京のため8日間留守にしたことがありました。

我が家に戻ってみると、室内温度は14.2℃に保たれていました。留守の間はもちろん暖房を切っていましたし、外気温はマイナス10℃以下の日もあったのに(笑)。改めて我が家の断熱性能の高さを実感しました。

試しに1階に床暖房を設置して3~4回程使ってみましたが、全く必要がありませんでしたね。高断熱高気密住宅は一般の住宅よりも高コストというイメージが強いようですが、それはある意味違うと思います。確かに一般の住宅よりコストは上乗せされますが、月々返済する住宅ローンで考えれば1万円程度上乗せすれば充分です。

それで高断熱・高気密化でき、結果的に消費エネルギーを大幅に減らせれば、家のランニングコストは驚くほど安くなる。むしろ、イニシャルでのコストを惜しんで、高い光熱費を払い続けることのほうがもったいないと思いますね。

 

マルチ・コンフォート・ハウス軽井沢 内観(リビング)

 

夏も冬も一年中快適な住まい


また、我が家では、太陽光発電システムを設置しています。季節によって幅はありますが、月々の電気料金よりも太陽光発電システムによる売電の金額のほうが上回っています。『軽井沢は霧が多いから難しい』なんて意見もありましたが、実際には東京以上に太陽光発電システムがマッチする土地柄なんだと実感しています。

軽井沢は当初、冬が厳しいイメージでしたが、実際にこの家に住んでみると驚くほど快適でした。家のどの場所にいても温度差がなくて冬でも軽装でいられるくらいです。むしろ東京の家のはうが寒かったですね。結露もなくて、2匹の愛犬の体調も良くなった気がします。

また、避暑地として知られる軽井沢。近年は夏の暑さが増しているとのことですが、我が家では冷房は不要ですね。2階天井に設置しているトップライトを開ければ、1階まで涼しい風が通り抜けてくれるから、とても快適です。

 

マルチ・コンフォート・ハウス軽井沢 内観(開口部)

 

マルチ・コンフォート・ハウス軽井沢 グラフ(室内温度分布)